星屑の残滓

日記とか買ったガンとかプレイしたゲームのレビューとかを適当に書いてます。

吉原御免状~隠れ里苦界行

今回は人物ではなく、、柳啓一郎氏の本から。タイトル通り吉原を舞台にしたものです。主人公は松永誠一郎という浪人で宮本武蔵の最後の弟子という設定(言うなれば肥後浪人?)。そんな彼が亡き師匠の遺した遺言から吉原を訪れる所から物語は始まります。さて、、この話に際しての前提設定ですが、、同作者の本「影武者 徳川家康」の流れを汲んでいる事があります。つまり家康は影武者であった世良田二郎三郎元信であり、天海は光秀であるという設定です。そして吉原とは何であったのか、、それも思い切った(ある意味正しい可能性も)内容となっております。元々は浪人(という事にしていた。実は北条氏邦の配下で幾つかあった傀儡一族の長の息子)庄司陣右ェ門が旅籠屋経営で実績を作った上で家康に直談判して開いた色町、、それが歴史学者が答えるものです。しかしこの話に於いてはそれだけでは無いのです。実は吉原とは最期の公界であり、傀儡一族の城であったという設定です。誠一郎がこの地に向かわされた訳も実は吉原を守る為でした。吉原の敵、、それは二代将軍秀忠その人。吉原はその尖兵であった裏柳生という幕府の汚れ仕事を引き受ける面々と果てしない戦いを続けていました。それは秀忠が死した後でも続き、、吉原は疲弊していました。そこまでして執拗に吉原を狙う理由、、それは陣右ェ門に渡された書状「御免状」にありました。とはいえ、、99%は吉原を開いた際に立てられた高札に書かれた内容そのまま。違うのはこの許しを与えた人物の上に追加された三文字だけ。しかし、、それは徳川政権を破壊しかねない意味を持った三文字だったのです。「我同胞」そこにはこうありました。つまり、、神君と後々評された天上人の家康と傀儡一族という最下層(えた、非人と同類とされた)の身分である陣右ェ門は同等の仲間である。そんな事が知れたら大変な事になる!故にどんな事をしてでも奪い取らなくてならない上に、それを知る人物を消し、、公界等という天皇に力を与える場所を根絶やしにしなくてはならない。何よりそんなふざけた場所があっては幕府の敵を産んでしまう、、それが理由でした。続きます。